歯ぎしり、噛み締め癖が聴力回復を妨げていた例

お客様

50代  男性  職業 技術職

来院

2020年 1月

症状と来院理由

来院の2日前の朝に、左耳の鼓膜が切れるような感覚があった。

その直後から耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りと耳のつまり感が出現。

その日に病院へ行き、検査をしたところ、左耳の中音域(500〜2000Hz)が60dB〜75dB、高音域(4000〜8000Hz)が75dB〜85dBと、聴力が著しく落ちていた。

病院では突発性難聴と中耳炎を診断された。

ステロイド治療を受けたが、海外出張を近くに控えており、少しでも早く治すために、他の治療を探していて当院を見つけ来院した。

 

1年ほど前から年中鼻炎症状がある。

1〜2年前から歯の噛み締めと、歯ぎしりがある。

治療内容と経過

初回(発症から2日)

左耳はほとんど聞こえない状態で、耳鳴りは常に「シー」というような音で聞こえている。大きな音を聞くと、「キーン」という高音の耳鳴りが聞こえる。

触診により左のアゴに強いコリがあった。

アゴを緩めるため、手に鍼をした。

 

2回目(発症から5日)

前回の治療後の帰りの電車の中で、ほとんど聞こえなかった耳鳴り以外の音が聞こえるようになった。

アゴのコリを取るために前回同様のツボに鍼をした。

さらに、耳に近い首にコリがあったので、そこを緩めるため手足に鍼をした。

 

3回目(発症から7日)

耳のつまり感が少し緩和した。

高音の「キーン」という耳鳴りが減った。

アゴと首のコリを緩めるために手足に鍼をした。

 

4回目(発症から9日)

耳のつまり感は残っているが、つまり感が取れる時間が出て来た。

耳鳴りは高音の「キーン」が減ってきている。

引き続き首とアゴのコリを緩めるツボに鍼をした。

さらに首を緩めるため、腰に鍼をした。

 

6回目(発症から15日)

左耳で電話ができるようになった。

つまり感、耳鳴りはさらに減って来ているが、まだ少しある。

聴力検査の再検査では、2000Hzが75dBから35dBまで回復、8000Hzでは85dBから45dBまで回復していた。

首肩とアゴのコリを緩めるために、手足に鍼をした。

 

現在も完治に向けて治療を継続している。

 

 

主に使用したツボ

耳髪L 鳴明L 陽尾L

考察

今回は、初回問診時に歯の噛み締めと、歯ぎしりがあるという情報があった。

触診した際も、アゴの筋肉にコリがはっきりとみられた。

初回から積極的に、アゴのコリを緩めるツボを使った。

首と耳に近いアゴを緩めることで、弱った聴力器官への血流を促進できたと考える。

アゴの既往歴や触診による状態の把握が重要と考える。

はりきゅうルーム岳 代々木上原院